Good afternoon

基本的に乃木坂について書いていくつもりです。自分の言葉に責任を持つ気が毛頭ない人たちが中の人をしており、それが複数名います。ご容赦ください。

超中立的な、参議院選挙の投票の仕方

7月21日は参議院選挙の投票日だ。とはいえこれは「投開票日」とでも言うべき日であって、正確には、それ以前でも期日前投票不在者投票ができる。つまり、今は21日までをもって「選挙期間」と呼ぶべき期間であると言える。

そんなわけで選挙の話をするのだけど、ここでは「〇〇の候補者/政党に入れるべき」という話はしない。もちろん、僕には僕の意見があるし、それははっきり言って、このブログを読めば分かると思う。僕は基本的にはリベラリストなので、話の節々にそういったバイアスがあることを否定しない。ただし以下話すのは、言ってしまえば「それ以前の話」だ。つまり、一般的な「投票の仕方」にフォーカスした話であって、特定政党を応援する意図は基本的にはない(というより、この話をしただけでは特定政党や候補者の話にはならない)。

以下では、まず基本的な候補者/政党の探し方を紹介したい。紹介といっても、「このサイトがいいよ!」という程度のものなのだけど。次に、探し当てた候補者に本当に入れるべきなのかどうかについて更に踏み込んで判断するために、「戦略的な投票」の仕方を、一人区と複数区の場合に分けて、簡単に解説したい。そして、戦略的な投票という、いわば投票所で鉛筆を握っている時間のみでない、日々のなかでの選挙をめぐる呼びかけについて触れる。最後に、今回のに限らず、選挙の争点をどう見極めればいいのかについて、制度の話もちょこっとしつつ、話したい。

まぁ読めば分かるように書いた(つもりな)ので、ゆるーく読んでやってください。

 

1. 候補者をどうやって探せばいいの?

さて、「選挙に行け」と言われても、そもそも、どの候補者に入れればいいのか、というかどんな候補者がいるのか分からないことが多いと思う。リサーチする方法はいくつかあるが、個人的にお勧めしたいのが、このサイトだ。

vote.mainichi.jp

これは毎日新聞がやっているやつなのだけど、実に使える。このサイトは、20くらいの質問に答えるだけで、あなたの支持しうる政党を教えてくれる。選挙区を入力すれば、該当する候補者も見つけてくれる。色々と見てきたけれど、今のところコレが一番信頼できるから参考にしてほしい。

でも、「候補者は分かった、ならそいつに入れよう」と思ったあなた、ちょっと待ってほしい。実は、ここからが本題なのだ。

 

2. 戦略的投票のススメ--一人区の場合

政策志向の合う候補者をとりあえず見つけたあなたが次に考えるべきは、「本当に、その候補者に入れる意味があるのか」ということだ。というのも、あなたが「いいね!」と思ったその候補者は、実はとんでもなく弱い候補かもしれないからだ。そんな奴に入れたところでどうせ落ちるのだから、あなたの一票はあまり活かされない。

たとえば、あなたは自民党が嫌いで、社民党が好きだとする(たとえばの話なので、「いや逆だわ」と思う人は、入れ替えて読んでほしい)。そしてあなたの選挙区の情勢を、取り急ぎ以下の通りとする。なおここでは単純化のため、一人区を想定している*。このなかから候補者は一人しか当選しないということだ。

自民党:35%
社民党:10%
立憲民主党:30%
・その他:25%(右から左まで幅広く)

とりあえずこの選挙区では、一番人気は自民党だ。次いで立憲民主党、残念ながらあなたの好きな社民党は3番手だ。この場合、あなたが社民党に入れたとしても、あなたの願いは届かない。つまり、社民党は同じく野党である立憲民主党にも届かず、かといって立憲民主党も1位にはなれないまま、あなたの嫌いな自民党がそのまま当選することになってしまう。

ならどうしよう? 答えは簡単、あなたはこのなかで政策的に社民党に一番近い立憲民主党に、少し(かなり?)悔しい思いも持ちつつ、入れればいい。そうすればあなたはうまくいけば、あなたが嫌いな自民党を落とすことができて、かつ社民党に比較的近い政党を国会に送ることができる。事実として、社民党の10%が立憲民主党に加われば40%、自民党の35%を上回ることができる。

*なお一人区の場合は、基本的に野党は候補者を一本化しているため、こういう事態は生じません。あくまで戦略的投票の解説をするための単純化です。

 

3. 戦略的投票のススメ--複数区の場合

次に、複数区の場合を考えてみたい。複数区では、たとえば30人くらい候補がいるとして、そのなかから3人くらいが選ばれたりする。一人区が一人しか当選しない選挙区であるのに対し、複数区は文字通り、複数の候補者が当選する選挙区だ。都会とされているエリアにこのタイプの選挙区が多い。

とりあえず、あなたはまたまた自民党公明党・維新が嫌いで、社民党立憲民主党共産党をはじめとした野党を好んでいるとする。しかし複数区の場合、困ったことに、立憲民主党社民党共産党も候補者を出していることが多い(というより、仮にここで野党共闘で候補者一本化などしてしまえば、極端に言えば、6人当選する選挙区で一人しか野党議員が生まれないというアホなことになる)。

一体誰に投票すればいいんだろう? ここで、とある選挙区を想定してみよう。ここでは4人が当選することとする。そして新聞報道等を見る限り、

・1位:自民党
・2位:立憲民主党
・3位:公明党
--------(以上、当選ほぼ確定)--------
・4位:維新vs共産党
--------(以下、ほぼ落選確定)--------
・6位:社民党

ということになっているとする。うん、なんか社民党、ごめん。

さて、この選挙区ではどうやら、1位から3位まではほぼ当選が確定しているが、最後の議席、つまり4位をめぐって、維新と共産党が争っているらしい。もしあなたが立憲民主党共産党より好んでいるとしたら、あなたは立憲民主党の候補に入れるかもしれない。しかしそれでいいのか? 答えはNOだ。なぜなら、立憲民主党の候補者はすでに当選が事実上確定しているからだ。そんな決まり切った候補者に入れたところで、あなたの一票は対して効果を発揮しない(せいぜい、「わあい、自分の投票した候補者が当選したぞ!」という満足感が残るくらいだ。当たり前だろう、その候補者はあなたの尽力なくとも余裕で当選している)。

なら、誰に投票すればいいのだろう? 答えは簡単、共産党の候補者だ。前提に従えば、あなたは与党陣営より野党陣営を好んでいる。しかしあなたが立憲民主党に投票してしまえば、繰り返しになるけれど、決まり切った候補者がただ当選するだけであって、その結果、あなたの票を欠いた共産党の候補者は落選し、あなたの好まない維新の候補者が当選してしまうかもしれない。共産党の候補者と維新の候補者は、どちらも当落線上にあるがゆえに、まさに一票を賭けて闘っているからだ。

つまりあなたは、複数区においては、当落線上にある候補に入れればいい。あなたが野党を好んでいるという今回のケースでは、この選挙区においてあなたは最も好んでいるはずの立憲民主党を差し置いて、共産党に入れるべきということになる。それは、共産党へのイメージとは全く関係がないし、ましてやあなたが共産党員であろうがなかろうが全く関係ない。そして、これはあなたが与党を好み野党を好んでいない場合でも同じだ(その場合、あなたは維新に入れるべきだろう)。

 

4. 一票を呼びかけよう

以上、戦略的投票の基本のキについて解説してきた。とはいえあなたは、「でも自分の一票じゃ何も変わらないよ」と思うかもしれない。なるほどそれはその通りだ。もちろん、こうした疑問に対し、政治的責務等から訴えかけるアプローチもあるけれど、今回は別のやり方を提示してみたい(dutyみたいな議論、ぶっちゃけ耳タコでしょ?)。それが「一票を呼びかけよう」というものだ。何のこっちゃ?

実はさっきの一人区の話では、自民・社民・立民以外の25%を想定していた。もう一度見てみよう。

自民党:35%
社民党:10%
立憲民主党:30%
・その他:25%(右から左まで幅広く)

実に単純な話だ、あなたが社民党のファンならば、あなたはこの25%に働きかければいい。たとえばあなたの友達や恋人がこの25%の中にいるならば、その人を説得して、社民党に入れてもらうよう働きかけよう、ということだ。

実際問題、このうちの5%が動いだだけでも大騒ぎだ。なにせ、この25%はかなりの確率で選挙に行かない。そして現実には、今回の選挙の投票率過半数を切る勢いと予想されているから、25%どころの話ではない。つまり、あなたが働きかけることのできる余地は、めちゃくちゃあるのだ。

あなたは一票を持っている。しかし、一票しか持っていない。あなたの票はどこぞの総選挙と違い、有限だ。でも、親しい友人と選挙の話をして、その友人に社民党を気にいってもらい、かつ選挙に行ってもらえれば、一票しかもっていないあなたは、その友達の分も合わせて、社民党を応援することができる。投票所においてあなたには一票しかないけれど、しかしあなたは仲間をつくり、一票以上の影響力を行使することができる。

そして現実には、戦略的な投票と、この手の仲間づくりを両立させることが必要になる。つまり、勝ちうるベターな政党なり候補者を選んだ上で、そいつらが勝てるよう、自分の半径5mくらいから、政治の話をしてみること。日本は民主主義の国、あなたにはその権利もチャンスもある。

 

5. おわりに

というわけで、かなりざっくりと、投票の仕方について書いてみた。ここで書いたのはかなり基本的な話なので、もちろん例外もあるし、迷うケースもあるだろう。「どうすればいいかな」と思った時には、信頼できる人と話したりしてほしい。とはいえ、最初の方に紹介した「えらぼーと」で、だいたいの選定はできるとは思う。

ここで主張したことは、あなたの票は無限でないという基本的な事実だ。それゆえに、あなたは自分の一票の意義を最大化させるべく、戦略的に投票行動を行う必要がある。この投票行動は、投票所で鉛筆を動かすことに加え、日々の人間関係のなかでも行使されるものであるということ。主にこれらのことを、この記事では話してきたつもりだ。これらのことについてはあなたの政策志向とは無関係に話せることなので、取り急ぎ、ここまでの記述について、僕が特定政党および候補者を推す意図はないということを、改めて強調しておきたい(あ、社民党は、なんか本当にごめん)。

最後に、政策について少し触れておきたい。といっても細かい解説をするつもりはない。今回の選挙は何が争点かいまいち分かりづらいように思う。ここで話しておきたいのは、議院内閣制の基本的な仕組みだ。

「野党は反対しかしない」としばしば言われる。そんなことないんだけどね、という反論はさておき、そもそも議院内閣制においてはそれが正しい野党の姿なのだ。どういうこと? 単純な話で、多分、「三権分立」という言葉は、一度は聞いたことがあると思う。立法・行政・司法がそれぞれ分立して互いを抑制しあって・・・みたいな話だ。でも、ちょっと考えてみてほしい。日本は立法と行政が繋がっていないか? 事実、国会(立法)で多数派を占めた自民党(と、公明党)が、そのまま内閣(行政)を司っている。それ、本当に三権分立なの? そう、答えはNOだ。だから原則として三権分立を掲げているとしても、日本は、というより議院内閣制の国においては、正確にはそうではない(なおアメリカのような大統領制では、立法と行政はそれぞれ全く別の選挙で選ばれるかたちをもっているので、わかりやすく三権分立的だ)。

じゃあ、いったいどうやって権力を分立させているのか? その答えの一つが野党だ。つまり野党は、立法-行政に対し反対の立場から、問題点を提起し、争点を可視化し、世論にそれを訴えかける。もちろん、野党のかたちが調整型か対立型かというニュアンスの違いは国ごとにあれど、基本的な野党の仕事は、まさに「反対の可視化」だと言って良い。つまり野党は、連携する立法-行政という強大な権力を、言ってしまえば相対化する機能を果たすことが期待されているのだ(もちろん、与党は反対なんかされたくはないし、自分たちの政治運営は滞りなく全く問題なく進んでいると世論に見せたいから、野党の存在が鬱陶しい(みんなも、もしその立場になったら、そう思うでしょ?)から当然、争点は隠したいし、ぼやかしたい)。

よって、もし「今回の選挙、何が問われているのか分からないよ」と思ったら、真っ先に野党の声に耳を傾けてほしい。これは、仮に立憲民主党とかが与党で、自民党とかが野党になった場合も同じだ。対立軸を明確にするという点において、日本の野党は(ある程度)信頼できるというのが僕の見立てだ。当然、自民党はそれをうまくかわそうとするだろう。だからあなたが争点に悩んだ際の順序は、

①まず野党の声に耳を徹底的に傾ける
②その声に、与党がいかに(誠実に)応答しているかを見る

ということになる。ぶっちゃけ各政党のマニフェストとか見ても、大抵は似たような綺麗なことばかり書いてあるし(もちろん微妙な違いはあるけれど)、ポスターとか選挙公報なんてさらに酷い。というか、新聞とかでよくある各政党の公約比較とか、見てて分かるかと言われれば、あれで完璧に分かったという人の方が正直疑わしい。

さて、ちょっと長くなってしまったけれど、以上が今回の参院選の最低限の投票のススメということになる。ちょっとでも参考にしてくれれば幸いです。見てる人がどれだけいるかはわからないけれど。